医療法人制度は、昭和25年の医療法改正により創設されました。医療法人制度により、複数人による出資を可能とし、高度医療を安定して供給する体制が整ったのです。
平成24年3月末、全国には9万9千の一般診療所と6万8千の歯科診療所があります。これらのうち4万8千の診療所が医療法人として経営を行っています。
医療法人制度では、昭和60年の改正において、1人の医師が勤務する診療所でも法人設立を認め、これにより医療法人が大幅に増加することになりました。
そして、平成19年の医療法改正において、「基金拠出型医療法人制度」を導入し、解散時の残余財産が国等に帰属することになり、医療法人はより公益性の高い組織となりました。
医療法人とは、病院、診療所、介護老人保健施設の運営を目的とした法人です。医療法人の根拠法律は、医療法に定めがあり、民法・会社法を準用した規定もあります。
医療法人制度制定前は、個人による医療機関を準用した規定もあります。医療法人制度前は、個人による医療機関が大多数を占めていましたが、医療施設資金を多数の出資者から集め、医業の高度化と効率化を図るために医療法人制度が設けられました。
医療法人が開設できる施設は、原則として、病院、診療所又は介護老人保健施設のみです。しかし、業務に支障のない限り、医療に関する業務も運営することができます。
具体的には、看護専門学校、メディカルフィットネス、衛生検査所、訪問看護ステーション、ケアハウス、有料老人ホームなどです。
医療法人の設立認可は都道府県知事が行います。医療法人の種類には、社団法人と財団法人があり、理事長は、原則として、医師又は歯科医師でなければなりません。
役員は、理事が3人以上、監事が1人以上を必要としています。認可は都道府県が窓口となり、設立説明会を年2回行うのが一般的で、この説明会のタイミング以外で設立を行うことはできません。
なお、政令指定都市では設立認可の事務が市に移譲されていますので、市が窓口となります。
医療法、医師法等医療法制上の処分を受けている者や禁固刑以上の刑に処されている者は、一定の期間医療法人の役員になれないことになっています。
また、医療法人と関係ある特定の営利法人の役員が経営に参画していることは、非営利性の観点から不適当とされています。役員の任期は2年で、理事長のみ登記が必要となります。
医療法人は、決算において事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書を作成しなければなりません。決算で税務署に法人税を申告することはもちろんですが、申告後に事業報告書等を都道府県に提出することも義務付けられています。
医療法人は、社会保険診療を収入の原資とするため、適切な運営が行われているか否か、都道府県がチェックを行うこととなっています。
医療法人は、営利の追求を目的としていないため、配当を行うことができません。確かに、医療法人に利益が生じなければ、運営を継続することができません。
医療法人に剰余金が生じた場合には、その剰余金を医療施設の充実や医療スタッフの給与のほか、経費のために使うことを前提としています。