会社設立(起業)時、株式会社であろうが、合同会社であろうが必ずかかる費用(法定費用)があります。
株式会社であれば、「定款認証」の費用として52000円は法定費用としてかかりますし、登記の時にも15万円は税金としてかかります。つまり、株式会社の法定費用は20万超です。
これに比べて、合同会社は、まず「定款認証」の必要がありません。さらに、登記費用は6万円です。
つまり、設立時点で株式会社と合同会社では約14万円の差があります。
株式会社では、原則として出資した割合に応じて利益が配分されます。しかし、合同会社では、出資の割合に関係なく、以下の例のように、定款によって利益を配当することができます。
損益分配の割合は次のとおりとする。
1.社員 長崎市小江原四丁目16番21号
川原 倫彦 分配割合 50%
2.社員 長崎市小江原四丁目16番21号
川原 花子 分配割合 40%
3.社員 長崎市小江原四丁目16番21号
川原 太郎 分配割合 10%
会社を設立すると、代表取締役や代表社員などの役員を選ぶ必要があります。
株式会社では、代表取締役などの任期は原則2年と会社法で定められており、この任期のたびに、取締役の変更手続きをする必要があり、書類作成をはじめ、法務局への届出などの作業が必要となるうえに、印紙代(税金)が必ずかかります。
しかし、合同会社の場合には、代表社員などの役員に任期の定められていないので、変更の手続きも不要ですし、お金もかかりません。ですので、小規模な会社であれば面倒な手続きが必要なくなりますし、ランニングコストも省くことができます。
株式会社も合同会社も税務的には同じです。
そのため、個人事業主よりも経費として認め られる範囲が広くなります。
例えば、車の購入代金やガソリン代や携帯電話の通話料など法人名義のものは全て会社の経費として認められます。(個人事業主は 自家消費分は認められません。)また、生命保険料や不動産の売買にかかる損益なども会社の経費として算入することができます。
合同会社を1人で設立する場合には問題はありません。
しかし、合同会社を2人以上で設立する場合には、かなり慎重に考える必要があります。
というのも、合同会社の場合には、基本的に社員は全員が業務を執行し会社を代表しますので、業務を進めていくうえでの意思決定も基本的は全会一致となります。
ですので、問題が起きたときに、意見が対立しお互いが譲らない場合には収拾がつかないことになりますので、社員が複数になる場合には、かなり慎重に検 討しなければなりません。
実は、2014の2月に自分名義の合同会社を作りました。
なぜ株式会社ではなく、合同会社にしたかと言うと、この合同会社は行政書士事務所の行政書士業務以外のことをする会社として作ったからです。この会社の目的は、経営コンサルタント業や印鑑及び看板の販売等です。
つまりこの会社は、会社自身で営業するわけではなく、かわはら行政書士事務所と並行する業務の権利の主体として作りました。
ですので、合同会社のデメリットとして、知名度の低さがありますが、今回の私の合同会社の設立は、かわはら行政書士事務所としてお仕事を頂く付随の部分であるため知名度は関係なかったからです。
この知名度の低さに関連する部分であれば、介護系の許可には法人とすることという条件があることがあります。
しかし、デイサービスや訪問介護、介護タク シーなどで株式会社○○とか合同会社○○などと目にすることは少ないとういうか気を付けてみなければお目にかかることはないと思います。
なぜかというと、事業所名というのを付けるからです。ですので、介護系の会社には合同会社は向いていると思います。
ただ、注意しなければならないのは、小規模や家族経営の事業所であれば問題がないと思いますが、中規模や大規模の事業所になると人を雇い入れるときに求人を出すときに合同会社では知名度としては不利に働くとも考えられます。
以上により、設立費用を抑えて会社設立(起業)したいのであれば、合同会社が良いでしょうし、また、許可の基準として法人を作らなければならない場合も合同会社がいいかもしれません。
ですが、会社を作って、ガンガン営業して人を多く雇い入れたい、あるいは、付き合いのある業者が多いのでメンツを保ちたいと考えるのであれば、株式会社がいいのかもしれません。
実際弊所では、8割前後の方が株式会社を選択しております。株式会社と合 同会社の違いを理解し、メリット及びデメリットを天秤にかけ、自分にあった法人を作れることが1番だと思います。最終的に決めきれない場合や不安がある場 合は、弊所へ御相談下さい。事情をお伺いし、アドバイスを出来ればと考えております。