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法人成り

法人成り

個人事業から、法人事業に移行した人は、個人事業で使用していた財産などを会社に移す作業が必要になります。どんなものをどういった方法で引き継ぐのか、方法によってメリットデメリットがあるので、よく検討して慎重に進めていきましょう。

具体的には、取引先などへ、個人事業から会社に変更になった旨を連絡します。
また、事務所や店舗、工場などの賃貸借契約、複合機、機械などのリース契約、水道光熱費関係も社長個人から会社名義に変更するとともに、引き落とし口座も法人口座に変更します。

さらに、法人成りに伴い、各種届け出が必要となります。会社の設立に伴う届出書や個人事業の廃業に伴う届出書です。

最後に、個人事業を廃止した年の翌年3月15日までに最後の確定申告をします。ただし、不動産所得(会社に建物を貸す)などがある場合は、引き続き確定申告を行います。

 「資産」や「負債」を引き継がない場合

個人事業を粛々と清算していく

これは、厳密にいえば「法人成り」ではありません。個人事業の閉鎖と会社での事業をスタートさせることを、同時並行させるイメージです。

個人事業に関してあくまで売掛金や買掛金の清算のみで、法人設立日以降に発生する売上げや費用は計上しません。

個人事業の「資産」や「負債」を引き継がない場合には、会社を設立してから、個人事業として、在庫の販売、売掛金の回収、買掛金の支払いそのほか、個人事業を粛々と清算していきます。

具体的に「資産」や「負債」を引き継がない場合は、以下のような処理をしていきます。

  1. すべての在庫を販売する
  2. 売掛金、貸付金をすべて回収する
  3. 買掛金、借入金をすべて支払う(可能であれば、前倒しで支払うのもよいでしょう)。資産や負債の引き継ぎとは別に契約関係については、解約もしくは会社への引き継ぎを検討します。
  4. 個人で事務所を借りていた場合は、解約するか名義を会社に変更する。
    ※敷金などを預けていた場合は、解約するか名義を会社に変更する
 「資産」や「負債」を引き継ぐ場合

引き継ぐことができる資産負債と引き継ぐ方法

ほとんどの資産と負債は会社へ引き継ぐことができます。

ただし、事務所を借りる際に不動産オーナーに支払いをした敷金や保証金、コピー機のリース契約は、不動産オーナーやリース会社に確認が必要になります。

また、開業費などの繰延資産といった例外もあるので、注意します。

引き継ぐ方法としてはいくつかありますが、いずれもの方法も時価で取引することが大切になります。

会社の引き継ぎ方としては以下の方法があります。

  1. 売買契約

    個人事業主である社長から会社へ、資産(もしくは負債も一緒に)を売却する方法です。基本的に、個人事業者である社長と会社で売買契約書を締結して代金のやりとりをすることになります。

    メリットとしては、分かりやすい方法でることです。デメリットとしては、会社に買い取るだけの資金が必要です。所得税、消費税などを検討する必要があります。不動産の場合には、不動産所得税、登録免許税が会社にかかります。

  2. 現物出資

    個人事業者である社長から会社へ、金銭以外の資産(もしくは負債も一諸に)を出資する方法です。

    通常、出資というと、金銭を会社へ払い込んで、代わりにその会社の株主になることをいいますが、なにも出資は金銭にかぎられたものではありません。車や売掛金、パソコンなどが出資できます。

    メリットとしては、現物出資をすると、会社の資本金をすると増加させることができます。デメリットとしては、資産によっては時価の算定が難しいということです。

  3.  賃貸借契約

    個人事業者である社長から会社に資産を貸す方法です。基本的に、個人事業者である社長と会社の間で「賃貸借契約書」を締結して、賃貸料のやり取りをするだけでよく、分かりやすい方法です。

    「個人事業者」と「会社の社長」は同じ人物であっても、「会社の社長」と「会社」はまったくの別人ですから、両者の貸し借りは問題ありません。会社の社長と会社で「賃貸借契約書」を作成し、会社は月々使用料を支払い、会社の社長は賃貸料を受け取ります。

    たとえば、個人で所有していた自宅兼事務所で個人事業を営んできた場合、法人成りしたあとは事務所部分を会社に貸し付けることができます。この場合は、会社が会社の社長に対して家賃を支払うことになります。

    ただし、個人事業者として賃借していた事務所を会社に又貸しする場合には、無断転貸など法的な問題点には十分注意してください。

    賃貸借契約のメリットとして、うまく使うと、不動産取得税や登録免許税、含み益に対する所得税がかからないことです。デメリットとしては、賃貸料の受け 取りは所得となり、法人成りしたあとも基本的に確定申告を続けなければならない。また、適正な賃貸料を決めないと、適正な賃貸料と実際の賃貸料の差額を役 員賞与とされる税務リスクがありますので十分注意してください。

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